孤独な私が愛を見つけたら
「もし良ければ、私が作ります。」

ついそんな言葉が出てしまって、自分で驚きを感じる。

そして私はつい坂下さんの様子を伺う。

「そうか、じゃあ、冷蔵庫でも覗くか?」

少し虚を突かれたように坂下さんは答えた。

「坂下さんは何か苦手なものはあるんですか?」

私は何気なく聞いたつもりだった。

少し坂下さんの顔に赤みが差したような気がする。

「坂下さん?」

坂下さんは私から視線を逸らした。

「すまない。」

坂下さんの視線は天井に向けられている。

「坂下さん?」

すると私の方に顔を再び向けたその表情は、照れ隠しをしたような何とも言えない笑顔。

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