孤独な私が愛を見つけたら

胸がキュウと締め付けられて息苦しい。

「おい、こっちにこいよ。」

私はそんな坂下さんの声に立ち上がった。

私はキッチンの前にすっと立ってみる。

そしてシンクの方へ目を向ける。

「使いやすそうですね。でもこの高さだと、坂下さんには少し低くないですか？」

「ああ、それは仕方ないだろう。キッチンは女性に合わせるものだからな。」

冷蔵庫を覗いていたその視線が、私の方に向かう。

そばに置いてある包丁が目に留まった。

柄の部分が可愛いパステル調のピンクだ。

どうも坂下さんの雰囲気にそぐわない。

そう言えば置いてあるキッチンの道具も坂下さんに合わない可愛らしいこだわりが見えるような気がする。

「ん？どうした？」