私の主治医はお兄ちゃん






駿介は生徒用の観客席、そして私は擁護用テントへとそれぞれ戻った。



しばらくそこにいると

男「転んじゃって…絆創膏もらえますかー?」


え…今先生居ないのに……


美「す、鈴木くん!!」

そこに立っていたのは同じクラスの鈴木悠真くんだった。

鈴「よっ!神崎!絆創膏もらえる?」


美「ダメだよ!消毒しないと。そこ座って。」

私は近くにあったパイプ椅子を指差した。


鈴「大丈夫だよ。水道で洗ったし。」




美「だめですー!すこししみるかもだけど…」

そう言って私は鈴木くんを椅子に座らせた。



鈴「分かったよ。さすが医者の妹だな。」


美「へ?」


鈴「さっき女子達が話してるの聞いたんだよ。あそこにいるお兄さん達お医者さんなんでしょ?」


美「あぁ…うん!来なくて良いって言ったんだけどね。」

少し困り顔で私が言うと


鈴「俺でも神崎みたいな妹がいたら絶対見にくるけどな。」
そうボソッと言った。


でも私の耳には聞こえなかった。


美「今なんか言った??」


鈴「い、いや!なんでもない!!」

顔を赤くした鈴木くん。

私の頭の中はハテナでいっぱいだった。




美「消毒するから少ししみるかも!」

そう言って私が鈴木くんの擦りむいた足を消毒すると鈴木くんは痛そうに顔を歪めた。


うー心が痛い。


美「い、痛いよねっ。ごめんねっ!」


鈴「なんで神崎が謝るの?」


美「だって鈴木くんが痛いっていうの分かってるのに…」


鈴「だって神崎は俺のためにしてくれてるんでしょ??」



……あっ!
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