私の主治医はお兄ちゃん
駿介side
ピストルの音で一斉に走り出した各クラスの代表者達。
ま、俺もその1人だけど。
さっき俺がふと美音がいる救護テントを見ると美音と鈴木が仲良く話していた。
俺はそれに無性に腹が立つ。
そして今イライラMAX。
それにアイツは美音と同じクラスだし。
絶対負けたくねぇ。
そんなダサい理由で今年は本気で走ると決めた。
…でも。
さっきトイレの前で女子達に詰め寄られていた美音を庇った時足を捻ったらしい。
そこがズキズキと痛んでいた。
別荘で怪我したところがまだ完全には治っていなかったのかもしれない。
そんな事を考えているとあっという間に自分の番が近付いてくる。
くそ…
なんでこんな時に限って悠真のクラスが1位で俺のクラスが4位なんだよ。
それでもバトンを渡された瞬間。
俺は意地のみで思い切り走った。
普通に走っただけで早いと言われていたから本気で走るのは初めてかもしれない。
俺は1人、2人と抜かしていき、いよいよあとは悠真だけ。
絶対負けるもんか。