私の主治医はお兄ちゃん




俺と湊斗は目を合わせて、湊斗は美音を抑えて、俺は検査の準備をした。


あまり抵抗する元気も無さそうな美音。




早く検査して熱下げてあげねぇと。



優「よし、じゃあ美音ちょっと痛いけど頑張ろうな。」

そう言って俺は検査を始めた。


美「んーん。痛いーっ!やだー!!!」

大声を出す美音を必死に湊斗が抑え、すぐに検査は終わった。


優「終わったよー。痛かったね。」



美「痛いよぉーっ!……っ…ヒック。」


湊「頑張ったよ。美音。」
そう言って湊斗は頭を撫でた。



すると美音から思わぬ発言が……

美「痛かった…でも、ありがとうっ……グスン」


優・湊「え?」


美「優也兄も湊斗兄も美音の事…ヒック…考えてしてくれてるから……ヒック…」


美「痛いけど…ヒック…優也兄達も………美音に辛い思いさせるためじゃなくて……治すためにしてくれてるから…グスン」

泣きながら一生懸命そう言ってくる美音。




俺はなんだか目頭が熱くなった。

今までだったら絶対「嫌い!」とか言って怒ってたのに…


大人になったんだなぁ…

いや、まだ俺らに気を遣ってるのか?





それでも堪らずに俺は美音の事を思い切り抱きしめていた。


優「美音お利口さんだな。早く良くなろうな。」


そう言うと美音は頷き、再び眠りについた。



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