私の主治医はお兄ちゃん
カチャカチャ銀のトレーをいじりだす優兄。
優「さーて。はじめるぞ。」
そう言って手に持つ駆血帯。
血液検査か…
俺は左手に点滴が刺さっていたため、右手を差し出した。
優「お~えらいなぁ!さすがお兄ちゃん!」
………
駿「ねぇ優兄。」
優「ん~?」
駿「俺のことバカにしてる?」
優「そんな怒るなって!ちょっとしかしてないから。」
ニカっと笑う優兄。
…ってことは
駿「少しはバカにしてるんじゃん!!!」
優「ばれたか~じゃ、刺すよ。」
その瞬間腕に感じる痛み。
駿「………っ」
あれ…
駿「優兄…待って。」
優「どうした?」
駿「気持ち悪い…」
優「ん。ちょっと抜こうか。」
優兄はスッと針を抜いた。
優「吐きそうか?」
駿「や、大丈夫。」
優「吐いた方が楽になるぞ?」
駿「大丈夫。」
優「…全く。」
優兄は俺の下瞼をめくりだした。
優「ちょっと点滴足すな。今あまり無理させるの良くないだろうからとりあえず注射だけ頑張って、あとはちょっと休んでな。」
駿「うん…」
優「じゃ、注射だけ打っちゃうね。ちょっと痛いかも。」
そう言って優兄は注射を打ってくれた。
駿「…いっ。」
結構いたい。
優「はいおしまい。じゃ、ちょっと休んでろ。」
優兄は美音側のカーテンをサッと開けて
優「美音、駿ちょっと具合悪いから様子見ててあげてな。辛そうだったらナースコール押してあげて。」
美「うん。わかった!」
駿「大丈夫だっつーの。」
優「お前は大人しくしてろ。もうすぐ昼食出るだろうから二人ともちゃんと食えよ。」
そう言い残して優兄は病室を出て行った。