私の主治医はお兄ちゃん

駿介side








湊斗兄が珍しく連休らしいのにまだ顔を合わせていない。


忙しいのかな。


ずっと部屋にこもりきりだ。




でも俺の飯は用意してくれている。




そんな湊斗兄の2日目の休みの日、珍しく優兄が俺らが住んでいる実家にやってきた。




優「湊斗いるか??」


駿「いや、俺もまだ顔を合わせてないんだよね。」


優「え?休みに入ってから一度も!?」


駿「うん……忙しいのかと思って。」


優「……まじかよ。」





それだけ言い残すとすぐに優兄は湊斗兄が寝ている部屋に向かった。


俺もその後を追うように湊斗兄の部屋に様子を見に行く。






ベッドに横になっている湊斗兄。


湊斗兄はいつも頑張っていて、優しいけど自分の弱いところは見せない人だから…



こんなぐったりしてる湊斗兄は初めてみたかもしれない。





すぐに湊斗兄の首元に手を置く優兄。





優「すげー熱あんじゃねぇかよ。いつから?」



湊「……」




優「いつからだって聞いてんだよ。」


優兄は低い声で湊斗兄にそう言っていた。

まるで普段俺や美音を叱るかのように。





湊「昨日くらいかな…」


優「駿介は休みになってから顔を合わせてないと言ってたぞ。それに俺が最後にお前にあった日、すでに顔色が悪かった。昨日じゃねぇだろ。」



湊「……」


優「今から湊斗を病院へ連れて行く。」


駿「わかった。」


湊「いや、まじで大丈夫だから。」




湊斗兄がそう言うと優兄は湊斗兄の部屋の机に入った箱を持ちながら言った。



優「こんな市販の風邪薬飲むくらいならちゃんと診て薬処方した方がいいだろ!お前もいい加減意地はるのやめろよ。」


優兄の荒げたような声に俺すらもビクっとなる。



湊斗兄はそれでも首を縦にはふらなかった。




< 222 / 296 >

この作品をシェア

pagetop