私の主治医はお兄ちゃん
湊『お兄ちゃん!!』
優『んー?どうしたの、湊斗。』
湊『見て!僕が描いたの!お兄ちゃんと僕が一緒に遊んでるところだよ。』
優『湊斗は絵が上手だね!将来は絵描きさんになれるよ。』
湊『んーん。僕はお兄ちゃんと同じお仕事するの!』
ふとそんな会話を思い出す。
まだ湊斗が幼稚園に行きだした頃の話だ。
美音と駿が生まれてきて全然甘えて来なくなったけど、湊斗も努力して本当に俺と同じ医者になった。
それは凄いことだと思う。
でも……
優「湊斗、お前この熱でなんで俺に連絡しなかった?」
湊斗から受け取った体温計を持ちながら言った。
湊「いや…」
優「いや…じゃねぇだろ。お前まじで強がるのもいい加減にしろよ。」
湊「ごめん。」
俯きながら湊斗はいった。
体調が悪いのを隠される気持ち、
湊斗はちゃんと分かってるはず。
だからこその“ごめん”なんだろう。
優「なぁ、湊斗。美音や駿はさておきさ、俺にはもっと頼れよ。頼ってくれねぇと分かんねーよ俺だって。」
湊「うん。ありがとう。兄貴。」
優「とりあえず点滴すっから腕出せ。」
湊「えっ。あ、おう。」
優「痛かったら泣いてもいいぞ?」
俺がからかってそう言うと湊斗は顔を真っ赤にして
湊「泣かねぇよ。」
と言ってそっぽを向いた。