私の主治医はお兄ちゃん
美「痛ッ!!」
カシャーン。
駿「ギリギリセーフ………っ…ハァ…ハァ…」
突き飛ばされた痛みと刃物が落ちる音。
そして……
美「…アウ…ト……だよ……」
だって。
駿介が怪我してるもん………
恐怖で体が震えて力が入らない……
悠「大丈夫か?美音。」
美「悠真くん!?」
悠真くんはふわっと私に上着をかけた。
悠「駿介てめーが怪我したら意味ねぇだろーかよ。」
駿「悪い。つい咄嗟に……ハァ…ハァ…」
…駿介。
きっと病院から走ってきてくれたんだ。
駿「話は聞いてなかったけどさ……母さん。俺たち母さんが思ってるほど…子供じゃないよ。」
母「……っ。ヒク………」
駿「母さんに何があったか分かんねーけどちゃんと理由がある事くらいわかる!!背負わせてよ。俺らにも……」
母「なんで……なんで……そんな……っ」
駿「母さんは大事な母親で。美音は大事な妹だからだよ……ハァ……ハァ……。だから……これ以上……もう……」
そう言いかけたところで駿介は膝から崩れるように座り込んだ。
悠「駿介っ!!」
駿「大……丈夫。それより…母さんと美音を…先に……」
悠「ふざけるな。それより先にお前の止血が先だ。」
そう言って悠真くんは自分が着ていたTシャツを破き駿介の手の傷口に強く当てた。
駿「痛っ……」
悠「我慢しろ。……クソ。なかなか止まらねぇ……」
優「駿!!美音!!お袋!!」
美「優也兄……湊斗兄も……!?」
湊「兄貴の言う通り駿介にGPSつけておいて正解だったな。」
優「あぁ。駿は美音を見つけ出す天才だからな。」
………良かった。
良か……
そこで私は安心からか気を失った。