私の主治医はお兄ちゃん
美「でもあの時…ひどい怪我だったから…無事でよかった。」
悠「ありがとな。あの時は。」
美「ううん。こちらこそ。」
悠「俺はあの時美音が助けてくれなかったらどうなってたか分からない。美音が居てくれたから今の俺がいるんだ。」
美「ありがとう。そう言ってくれて。」
そう言って美音は笑った。
けど目が笑ってない。
実の父親だと思っていた人は違って。
自分の母親を酷い目に合わせた人が本当の父親だって知って。
自分の大好きな母親に殺されそうになって。
そんな自分を庇うために双子の兄が怪我をした。
俺には想像がつかない。
美音が今どんな気持ちなのか。
俺には経験したことすらないことばかり。
それをこいつは一人で溜めこもうとしてる。
悠母「ただいま〜」
悠「おかえりー!」
悠母「今から夕飯作るから少し遅くなっちゃうかもなんだけど帰りは悠真送ってってあげなさいね。」
美「あ、私もお手伝いしま……」
母さんの手伝いをしようとして立ち上がった美音はそのまま後ろに倒れ咄嗟に支えることは出来たけど…
体が随分と熱い。
悠「おっと…大丈夫か?」
美「ちょっと立ちくらみ…」
美音はそう言いながらハハっと笑った。
悠「もうやめろよ。無理すんなって。笑わなくていいよ。母さん。美音熱あるみたいだから少し休ませるわ。」
美「へ!?大丈夫だよ!!」
悠「1人で溜めこもうとすんなよ。お願いだから。」