私の主治医はお兄ちゃん
湊斗兄の診察室はいろんなぬいぐるみや可愛らしい貼り紙が飾ってある。
湊「まず少しだけ診察させてな。音聞くだけだから。」
そう言って湊斗兄は私の服を少しだけめくり、聴診器を滑り込ませた。
湊「うん。大丈夫そうだね。寒くない?」
美「大丈夫。」
湊「そっか。でも一応ブランケットかけとくな。」
そっと私の肩にブランケットをかけてくれた湊斗兄。
湊「美音、どした?なんで1人で廊下にいたの?」
美「分かんない。」
どうしてなのか分からない。
でもあのまま病室にずっといるのは嫌だった。
湊「母さんの事は俺も兄貴も聞いたよ。母さんも辛いけど今は美音も辛いよな?」
美「分かんない。」
湊「俺にはそう見える。美音の心は今疲れちゃってるんだよ。ゆっくりで良いし俺らもそばに居るから少しずつ乗り越えよ?」
美「私どうしたら退院できる?」
湊「まずはちゃんとご飯を食べよ。このままご飯が食べられないと退院してもまた戻ってくるだけだから。」
美「美味しくないんだもん。」
しばらくずっと食べなかったせいかご飯はおかゆだし、どれもこれも柔らかくてどろどろしたのばかり。
湊「じゃあ〜今日はこれから夕食だから、3分の1頑張ってみよう。明日の朝は半分。それが食べれたら明日のお昼から普通のご飯にするように兄貴に頼んでおくよ。」
ぶっちゃけ食べられる自信はない……
でも早く普通のご飯が食べたい。
美「頑張る。」
湊「偉いな〜美音!」
美「ママは元気?」
湊「少しずつ回復はしてきたよ。今は美音の方が心配かな。」
美「……」