私の主治医はお兄ちゃん









目が覚めるとまたしても見慣れた白い天井にたくさんの管。



…戻ってきたんだ。

そう思った。



美「………」

のどに違和感があってうまくしゃべれない。




駿「…美音?」

そう駆け寄ってきたのは駿介だった。
涙目になっている駿介はすぐにナースコールを押してくれて、そのあとすぐに優也兄が来た。






優「美音聴診するな?」

頭がガンガンして頷くことしかできなかった。

聴診をして優也兄は喉に通っている管を抜いてくれた。


最初は苦しかったけど駿介と優也兄が一緒に呼吸してくれたおかげですぐに元通り呼吸することができた。




美「駿介なんで泣いてるの?」

駿「泣いてねぇよ別に…お前が寝すぎなんだよ。」

美「え?」

優「美音は肺炎にもなってずっと高熱続きで10日目を覚まさなかったんだよ。」



10日…

そんなに?



驚いた顔をしていると、優也兄は微笑んで、そして少し目を潤ませて
優「でも目が覚めて本当に良かった。」

っと言った。



みんな心配してくれたんだ。


優「美音、さっそくで悪いんだけど血液検査していいか?」

美「えぇ…そんなのひどいよぉ…」


駿「あれ?昨日してなかった?」

優「ん。ちょっと気になることがあって…少ししかとらないからすぐ終わるから。」


美「嫌だ。」




またどっか悪いのかもしれない…



そう思ったけど…


優「血液検査頑張れたら明日から少しずつご飯食べて中庭お散歩して体力ついたら退院できるよ。」

美「え?退院?」

優「うん。美音が目を覚まさなかった間に熱も下がったし喘鳴も消えてる。」

美「本当?」

優「おう。だから血液検査だけ頑張ってくれないか?」



だからって…うん!とは言えない…

私の返事も聞かずに優也兄は準備しに病室を出て行った。


駿「俺が抑えててやるから受けろ。」

美「やだーっ!」

駿「美音!」

美「駿介にはわからないもん!」

私がそう言うと駿介は少し悲しそうな顔をした。




< 42 / 296 >

この作品をシェア

pagetop