誓えますか?
華の女子高生になって2回目の夏休み、私はエアコンが壊れた暑い部屋から逃げだして、近くの私立図書館に避難していた

「すみません、美穂様」

「どうしたー、彩乃ー」

彼女の名前は上田 美穂、中学生からの友達だ

「夏休みの宿題は、お済みでしょうか?」

「大体は終わってるけど…どしたの?」

「夏休みの宿題を見せ…」

「やだ!」

「えーーーー
まだ全部話してないじゃん」

美穂と私がこの会話をするのは中学から高校の夏休みを含めて10回目? くらいかな

美穂と私の夏休みに欠かせない恒例行事なのだ

「だいたい宿題は自分でやるから意味があるんだよ、わかったかい? 彩乃ちゃん」

「そこをなんとかお願いしますよ、美穂様〜」

「どうしよー かなー」

美穂は、宿題を片手に私を見ている
いや、見下している

「ジュースを買いますので」

「へぇー ジュースねー」

「もちろん、タピオカでございます」

「よし、宿題を見せてやろう」

「ありがたき幸せ」

くだらないやり取りをした後、私たちは声を押し殺して笑った

「疲れたーーーー」

「写し終わったの?」

「うん、なんとか書き終わったよ」

「よかったじゃん」

「もう、腕が動きませーん」

腕を全力で動かしたおかげで、私の腕は限界を超えてしまったようだ

「彩乃、おつかれ」

「美穂ありがとね」

「いつものことでしょ」

「こんど店に来てよ、奢るから」

「どこでバイトしてるんだっけ」

「学校近くの焼肉店だよ」

「あぁー、あそこか」

「うん、サービスしますぜー」

「なら、今度行かせてもらおうかな」

「1名様ですか?」

「彼氏いない1名様ですが、なにか?」

「なんでもありません」

「はー、私も青春したいなー」

美穂は少し背伸びをしながら呟いた

「美穂ちょっと前に告白されてたじゃん」

「あれはダメだよ、私の顔が好きなんだって
やっぱり内面も見て欲しいじゃん」

「しょーがないよ、実際に美穂は可愛いんだもん」

実際に美穂は学校でも指折りの美女だ
大人びていて、髪も綺麗なロングなのだ

(むむむ、羨ましい……)

「それを言ったら彩乃は、クラス公認の妖精さんでしょ、可愛いの権化みたいなもんじゃん」

「権化って……」

「彩乃って今身長何センチ?」

「……153センチ」

「1年生の頃から身長伸びてる?」

「0.5センチ伸びたもん!」

「ほんと、彩乃は可愛いねー」

美穂が私の頭を撫でてきた

「もう、やめてよ美穂ー」

これが私たちの日常だ
私と美穂がバカみたいな話をして笑って過ごす
多分だけど、美穂は親友なんだと思う…

「ねぇ、彩乃」

「なに?」

「青春と言えば、あの鈍感とはどうなったの?」

「あいつの話はいいの」

私はそっぽを向いてみた
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