交わることはない
大沢 家
大沢家①☆☆
「大夢・・・
「母さん‥‥
「なに?あなたから言いなさい。」
と、帰りのタクシーの中で
「七湊のお母さんと仲良しだったんだ。
俺では・・もう・・無理なんだよね。」
「そうね、きっと。
あなたの気持ちが七湊ちゃんに
あっても
私があなたと七湊ちゃんをと
思ったとしても
決めるのは、七湊ちゃんだから。
それに、相手が遥ではね。
あの子が、女の子にあんなに
真剣に接する所を見たことない
女性に興味がないのかと
思っていたから。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「あなた、どうして七湊ちゃんを
大事にしなかったの?」
「‥‥わからな‥かった
きちんと女の子と付き合ったこと
なかったし
会わなくても七湊も
何も言わなかったから
付き合うって、こんなものなんだと。」
「‥‥‥そう。
あなたは、善とも
わだかまりがあるから
一人暮らしをさせたけど
間違いだったみたいね。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「七湊ちゃんの事は
もう、諦めなさい。
わかった?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
大夢は、返事をしなかったが
あすかは、大夢を大夢のマンションまで
送り自宅に帰った。
家に帰りついたとき
丁度、善が帰宅して
善の食事の準備をしながら
今日の話をした。
善は、
「大夢は、最初の子で
皆に溺愛されたため
あんな風になったのだろう
自分の事さえわかっていない
そんな奴が人の気持ちを理解したり
思いやったりするのは無理だろう
だから、会社も大夢には
任せられないと思った。」
「だけど、あなた
大夢は、大沢家の長男ですよ」
「わかってる
俺だって、我が子は可愛い
だけど何百もの社員とその家族を
守るには、大夢ではダメなんだ。
大夢は、大夢のやりたいことを
やれば良いと思っている
それにあいつは、
大手のIT企業に入社しているのだから。
そこで、上がっていけば良い。」
「そうね。私も様子をみます。」
「ああ、そうしてくれ。
で、その小松さんのお嬢さんは
どうだったんだ。」
「すっごく、可愛くて綺麗でね
あっ、あの遥が溺愛してたの
驚いてしまうほど」
「ほぉ、遥がな。
あいつ、女性に対して興味ない
と思っていたが。」
「そうなの。まあ、でも
七湊ちゃんをみてたら、
溺愛したくなるわ。
大事にしなかった大夢に
逆に驚かされる。」
「大夢も、今回の事で
少しは、学んでくれたら良いが。」
『遥の溺愛ぶりに当てられちゃった。』
と、言う私に善は
『じゃ、遥に負けないように
俺も最愛の妻を愛そう。』
と、私を抱き上げると
そのまま寝室に連れていく
(善は、今でも私を軽々お姫様だっこ
できるの、凄いでしょ!!
善は中年だけどお腹もでていなくて力持ち)
善と愛を育みながら
夜は、ふけていく
眠りにつきながら
あすかも善も、二人の息子の
幸せを願っていた。