交わることはない
大沢家②☆☆
善・・
俺とあすかは、政略結婚だ。
親同士が決めた
俺は当時 付き合っている人も
いなかった。
(彼女がいなかったわけではない)
父親の願望で海外に修業にいかされ
昼夜を問わずの勉強の日々で
恋人を作る暇などなかった。
だが、あすかは付き合っている
男がいて、この結婚には
反対していた。
俺もそんなに嫌がる女を
妻にするのは、嫌だと
両親に言ったが
「会うだけあって見なさい。
それでも、ダメなら仕方ない。」
と、父親に言われて
見合いに望んだ。
遅れながらでも
嫌々でも
あすかは、見合いの席に現れた。
・・・・美し・・い・・
俺は、あすかに心を奪われた。
高い身長、スラリとした足
髪の毛は、茶系で
今で言うミディアムボブ
目は、切れ長だけど冷たく感じず
鼻は高く、唇は、薄く
品のある顔をして
ネイビーのアンサンブルを着こなし
肩にカーディガンをかけ
ヒールをはいていた。
あすかの母親は、着物姿の為
娘にそんな格好でと叱っていたが
あすかは、
「だったら、呼ばないでよ。」
と、俺や俺の両親に挨拶するより先に
文句を言った。
あすかの両親は、二人ともため息を
ついたが
俺は、そんなあすかが面白くて
「くっくっ‥‥」
と、下を向いて笑ってしまい
両親にたしなめられた。
そんな俺にあすかは
びっくりしたようで
改めて、俺と両親に挨拶をした。
それから、二人だけで話をさせてもらい
俺は、あすかを気に入った事を
正直に伝えて
「恋愛も結婚も一人では、出来ません。
あすかさんが、俺をどうしても
嫌だと言われるのでしたら
そちらから、断りをいれてください。」
と、言ってその場で別れた。
それから、一ヶ月後
あすかの父親から俺の父親に
連絡が入り
俺達は、結婚した。
あすか・・
お見合いの席に
わざと、遅れていった
相手が怒って帰ってくれたら・・と
思いながら
わざと私服でいくと
案の定母にお小言をいわれて
つい、なら呼ばないでよ
と、素が出てしまい
彼、大沢 善さんに笑われてしまった。
彼は、175センチの身長
短髪で目が鋭く
綺麗な顔をしていたが
そんな彼が目元にシワをつくりながら
笑った顔に・・ひかれたのかな
善は、二人になると
ストレートに自分の気持ちを
つたえてきて、嫌なら
私の方から断るように
言って、帰っていった。
えっ、女の私を放置?
最初は、頭に来ていたが
彼の笑った顔が
彼の言葉が
いつまでも頭から離れず
彼氏とあっていても
上の空になり
彼と別れて
お見合いの返事をした。
あっと、言う間の結婚だったが
善は、全力で私を愛してくれた。
容姿も良い善に言い寄る女は
沢山いたが、善はまったく
相手にすることなく
私だけをずっと愛してくれた。
専務から副社長に
そして社長となった善
今も変わらず、私を愛してくれる。
多忙な善は、秘書を二人つけている。
もちろん、二人とも男性。
私が不安に思うような事は、
絶対にしない
そんな善が私も大好きで
愛している。
私達みたいに政略結婚でも
愛し会える夫婦もいるが
そうでない場合が多い
だから、私達は子供達には
自分の愛した人と結ばれて欲しいと
思っていた。