交わることはない
小松家問題③☆☆
東吾は・・
いつも、こうなんだろうか?
東から何も聞いた事はなかったが
まぁ、みのりと契約者について
とやかく言う事はないが・・・
だが・・みのりには・・・
想いを寄せている男がいるのだろうか?
だから、俺と一緒にいたくなくて
仕事部屋にこもるのだろうか?
俺は、みのりの事を考えながら
事務所へ戻って行った。
そんなことを東吾が
考えているなんて
私は思ってもいなかったが・・
夕方になると、やはり・・
エドから一緒に食事をと言われて
エドのマネージャーと秘書と四人で
食事に出掛けた。
明日の仕事が終わり次第
イタリアに戻るエドが
どうしても、と言うので・・
楽しい食事を終え
秘書は、タクシーでかえり
私はエドとエドのマネージャーに
送ってもらう。
タクシーを降り
エド達にお礼を言って
明日の帰国も気をつけてね
と、話していると
エドがいきなりタクシーから
おりて私を抱き締め
『みのり、愛してる。
僕だけを見てほしい。』
と、言うから
『うふっ、エド。
こんなおばちゃんじゃなくて、
沢山いるでしょ?』
と、エドの背中をポンポンと
すると
『真剣なんだ。』
と、言うから
どうしたものかと考えていると
いきなり腕をひかれた
えっ、と思っていると
『私の妻になにか?』
と、東吾
「えっ、東吾?」
私もびっくりしている中
エドもびっくりしていたが
『僕は、みのりを愛してます。
みのりと一緒になりたい。』
と、真剣に東吾に伝えるエド。
東吾は、彼はこう言っているが
お前は?と言わんばかりに
私を見るから
私が肩をすくめると・・・
『悪いが俺は妻と
離婚するつもりはないんだ。』
と、東吾が言うと
『あなたが、みのりを
愛しているようには見えない。
ビジネスパートナーだけの
関係なんだろ?
貴方は、みのりを大切にしていない。』
と、言うエドに
『長く夫婦をやっていれば
こんなもんだ。
愛だの恋だのは、独身の話だ。』
『そんなことはない。
僕は、永遠に愛す自身がある。』
『ふん、それは君のお国がらだ。
日本人はこんなもんだ。』
と、言う東吾にいささか
あきれ気味の私だが
タクシーの運転手にも
エドのマネージャーにも迷惑かかるから
『エド、また、ゆっくり話しましょう。』
と、言ってタクシーに乗るように
指示をして、マネージャーに謝って
運転手に出してくださいと言って
見送った。
東吾は、私に何か言いかけたが
私は、無言で家に入り
「お先にお風呂どうぞ。」
「お前は、あいつに気持ちが
あるのか?」
「彼は、私の会社の大切なモデルよ。」
と、言うと
「若い男に言い寄られて
うかれているんじゃないか
年を考えろよ。」
と、まるで蔑むように言われて
頭にかぁっと血がのぼるほど
イラついて
仕事部屋に行き
バターンとドアをしめた。
ドアに当たるなんて
と、思うが・・
本当にエドの方が私を愛してくれて
いるのではないかと思う。
愛だの、恋だの、ないと
言い切る東吾に
もう、私への気持ちはないんだと
心が冷たくなる
一度、冷静にならねばと
私は数日分の着替えを鞄につめて
家をでた。
東吾は、お風呂に入って
いるようだったが・・
私は会社の近くのホテルに入った。
良く使っているホテルなので
支配人も心得てくれていた。