交わることはない
七湊と遥
七湊と遥①☆☆
七湊は、両親の現状を知らずに
一度、自分のマンションに戻り
着替えをした。
「七湊の部屋、綺麗だね」
「遥、あんまりじろじろ見ないで
恥ずかしいから。」
「ええっ、だって、女の子の部屋に
入ったの初めてなのに。」
と、言う遥に
私が初めてなんだと
七湊は、一人でニヤニヤしていた。
「何?ニヤニヤして。」
「だって、遥の初めてもらったから」
と、言うと
遥は、顔を赤くした。
白いブラウスに黒のフレアスカートを
はき、ローヒールに
髪をハーフアップにして
遥からもらったピアスをはめた。
私の姿を見ても、
遥が何も言わないから
「へん?」
と、たずねると
ぶるぶると首をふり
「かっ、可愛い」
と、言うから
真っ赤になってしまうと
遥に抱き締められて
「誰にも見せたくない。」
と、遥に言われ
「ええっ、私は買い物に
一緒に行きたい。」
と、言うと
「クスッ、そうだね。」
と、言いながら
遥に手を引かれ
遥の車に乗り込み出掛けた。
遥と一緒にいると
すごく楽しくて幸せだった。
それは、遥も同じ気持ちだった。
帰りに遥から
「もう一軒、行きたいところが
あるんだ。一緒にいってくれる?」
「‥‥うん、いいけど
改まって、どうしたの?」
と、言うと
遥は、私の手をとり歩き始め
着いた所は・・
ジュエリーショップで
「七湊につけてほしいんだ。」
と、言われて
指輪なんかなくても
私は遥から離れるつもりもないが
遥にどうしても、と言われて
小さなダイアモンドが可愛く
装飾されたものを二人で決めた。
丁度サイズもあり
購入してからショッピングモールを
後にした。
帰りの車の中で
遥は、その指輪を
私の右手の薬指にはめ
「大学の卒業と同時に
婚約をして仕事が
落ち着いたら結婚して欲しい。」
と、言われた
「遥、ありがとう。
すごく嬉しい。
だけど、本当に私で良いの?」
「七湊が良い。七湊じゃないと嫌なんだ。」
と、言ってくれる遥の首に腕を回して
「ありがとう、遥。大好き。」
と、伝えると
「七湊、愛してる。」
と、キスをされた。
遥は卒業後、お父様の会社に入り
専務取締役としてやって行く
そこで、会社の内情や経営状況を
勉強していくらしい。
私は、沢山悩んだが
幼稚園に決めた。
笑子ちゃんも悩んで
小学校の採用試験を受けて
合格した。
大学を卒業するまで
後二ヶ月。
遥は、お父様の会社に
よく行っている。
私は、何度か幼稚園に行ったり
笑子ちゃんとお出掛けしたり
夜は、遥のマンションで
過ごしていた。
遥が会えないと不安みたいで
こっちに帰ってきてと
きかないし、会社に行くと
疲れてしまうみたいだから
食事を作ったりしている。
居ることの少ない私の部屋は
必要ないんじゃないかと
遥とも話していた。