交わることはない
出 産
大夢と鈴☆☆
日に日に鈴のお腹は、
大きくなっていった。
休みの日は、二人で散歩をしている。
先生から身体を動かしてね
と、言われていたこともあり
「大夢、お腹が
なんだか、変なの」
と、鈴に言われて
「陣痛?」
「計ってみる?」
「25分位かな?」
と、言われて
一応、病院に連絡すると
「初産は、少しかかる。」
と言われ
「20分になったら
慌てずに来院してください。」
と、言われた。
20分間隔になり二人で病院に入った。
鈴が診察している間に
俺は、両家の母親に連絡をした。
鈴は、予備室みたいなところで
陣痛の間隔を測っている
そのとき、鈴の母親と母さんが
予備室に到着した。
鈴は、まだ少し余裕があったが
段々と険しくなっていった。
「大沢さん、分娩室で子宮口の
開きを確認しますね。」
と、言われたが
丁度、陣痛が来てうずくまる鈴を
俺は支えながら腰をさする
「鈴、大丈夫か」
「うん、今ならいける」
と、言う鈴をゆっくりと
連れていく
分娩室に入ると子宮口は開いていて
お産に切り替わった。
「お父さんもこれを着て中に入って
下さい。」
と、看護師さんに言われて
バタバタと中に入り
鈴の汗を拭いたり
手を握ったり
少しおさまると腰を擦ったりした
「次で、おもいっきり、いきんでね
いくよ~ 頑張って~」
「うぅぅ・・ん・・うん・・はぁっ・・
「オギャア、オギャア!!」
「大沢さ~ん、元気な女の子よ。
きれいにしてから、パパに抱っこ
してもらおうか?」
と、看護師さんが鈴に言うと
鈴は、コクンと頷いた。
他の看護師さんが母達に知らせてくれた。
俺は、鈴に
「ありがとう、疲れただろ?」
と、言うと
「‥‥だい‥じょうぶ‥だよっ」
と、鈴は、疲れた顔で微笑んだ
俺は、たまらなくなり
鈴のおでこにキスをする
鈴は、びっくりして目を白黒させて
いたが・・・
きれいにしてもらって赤ちゃんが
俺達の元にやってきた
鈴と一緒に父親学級や母親学級に
参加して勉強はしたが
本当の赤ちゃんは、ずっしりと
重く、すべすべで良い匂いがした。
「元気に産まれてくれて
ありがとう。」
と、赤ちゃんに言うと目を開いて
俺をじ~っとみていた。
そんな俺を鈴は見ていて
クスクス、笑っていた。
俺は、赤ちゃんを鈴の胸の所にのせて
鈴と二人で赤ちゃんを見つめた。
少しすると鈴は処置をされて
病室に戻ってきた
赤ちゃんは、新生児室に入り
母親達と対面していた。
直ぐに鈴のお父さんと
親父もやってきた。
遥が行けと言ったらしい
俺は、両親達にお礼を言って
鈴と二人で考えた名前を告げた。
みんなをむすびつける意味で
「結(ゆい)」にしたと・・・
「『大沢 結』か、良い名前だ。」
と、親父は喜んでいた。
俺も鈴も嬉しかった。
両親達を、病院の玄関まで
見送った時に俺は、
「鈴に正式に結婚を申し込もうと
思っています。
断られるかもしれませんが
何度でも伝えて行きたいと
思っています。
宜しくお願いします。」
と、伝えた。
母親達は、涙を流してくれて
鈴のお父さんは、
何度も頷いてくれていた。
親父は、「しっかりやりなさい。」
と、俺の頭に一度手を置いた。
親父の大きな手に涙がでた。