恋が壊れた瞬間

私には、菜乃花という親友がいる。
菜乃花は可愛くて、明るくて、みんなの人気者だ。
そんな菜乃花がなぜ、私の親友でいてくれるのかはわからないけれど、私は菜乃花が親友なことを誇りに思っているし、菜乃花が大好きだ。
私はどちらかというとおとなしい方で、顔もスタイルも普通。

こんな私にも、実は好きな人がいる。
それはサッカー部の佐藤くん。
佐藤くんはいつもみんなの中心で笑っているような人だ。
私も気づいたら、図書室の窓から彼の姿を目で追っていた。
目があったら笑って手を振ってくれる。
私も笑顔で手を振り返す。
この瞬間が、大好きだ。
そしてこの胸のときめきが、恋だと気づいた。

サッカー部のマネージャーは菜乃花だ。
菜乃花は周りを見て行動できる人だから、マネージャーはピッタリだと思う。
やっぱり、菜乃花と佐藤くんが話しているのを見ると、胸がチクチクする。
でも私は、この気持ちは誰にも言っていない。
言ってしまったら、壊れてしまいそうで怖いから。言ってしまったら、叶わないから。
いくらでも自分に言い訳をして、隠していた。
そんな毎日が続いていた。