はやしくんに、紫陽花の花束を。
「ねー、あれ実写化したんだよ、見た?」
「見たよ。借りてた時ハマったし」
「はやしくん1人で映画館行ったの!?」
そうだけど、少しむすっとした表情になるはやしくん。私気に触ること言っただろうか?
「見に行ってくれる友達、いなかった。ななせとまだ連絡取ってたら一緒に行けたのにね」
私の心臓は相変わらずバクバクで。
じゃあこれからは、なんて言ってもいいのか分からなくて言えないけれど、少し、いやかなり期待してしまいそう。
柳瀬は他の男子と話に行ってしまって近くにいないし、また私たち2人きり…少し勇気を出してみようかな。
「私も、はやしくんと観たかったんだよ。だから、まだ見てないの」
嘘のような本当の話をすると、目を丸くして私を見ているはやしくん。
私の頭はここ8年間ずっとはやしくんのことしか考えて居なかったんだよ、って少しでも感じ取ってくれると嬉しいな。
「俺、見ちゃったけど」
「うん、超予想外」
「見ちゃったけど、それでも良かったら、今度一緒に観る?」
まさかのお誘いに3秒ぐらい時が止まった気がした。早く返事をしないと、夢が覚めてしまいそう。
「観る!」
「ん、ネタバレしないって約束する」
にしても泣かシンでここまで話繋げられるなんて思っても見なかったし、況してや次に会う約束まで出来てしまうなんて…泣かシンありがたや。
色々学生時代のことを思い出していると、さっきはやしくんが私を守るために使ってくれたあのシーン、やっぱり全く同じシーンがあったなと思ってニヤニヤしてきた。