はやしくんに、紫陽花の花束を。
うすいぴんく


中学2年生の時に携帯を買ってもらって、一番最初に連絡先教えてやるよと言ってきたのが慶次郎だった。


その日から毎日今日あった事を一行日記かよってレベルで送りつけてきた。正直、コイツやばいと思ってはいたけれど。


そう言えば、私は男子の名前を基本苗字で呼ぶんだけど、遊川慶次郎を苗字で呼ばない理由がある…その話はいつかするとして、本題に戻ろうかな。


高校2年生になって1ヶ月。相変わらず毎日私にメールを送ってくる慶次郎から、突然夕方に電話が来た。いつも寝る前にかけてくるのに…流石に何かあったのかもと思って急いででる私。


『…もしもし?』


電話から聞こえてきたのは、全然聞いたことのない落ち着いた男の子の声。


「…どちら様ですか?」


『や、コイツにかけろって言われて。』


遂に一番嫌なパターンの電話をしてきた遊川慶次郎許すまじ…。


慶次郎を許さないにしても、付き合わされているこの人は可哀想だし、少し会話してみようかなと思ったのが、私がはやしくんに恋をするキッカケみたいなものだった。


「お名前は?」


『…はやし』


「はやしくんね、覚えやすくて良いね」


『君はななせ、って言うんでしょ。』


「えー!なんで名前知ってるの!?」


『慶次郎がフルネーム教えてくれた。』


慶次郎ってわたしの名前知ってたのか。


なんてどーでもいい会話をして、なんとなーくの気まぐれでなんだけれど、その頃ハマっていたSNSで友達になった。


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