はやしくんに、紫陽花の花束を。
放課後、窓の外を見るとオレンジの空。もうこんな時間か…と思いながら隣を歩いている慶次郎も見る。


「俺と綺麗な夕日が見れて嬉しいなーロマンチックだなー、ってか?」


「本当にそう言う所が昔から嫌!」


「俺の冗談、お前にだけ通じないんだけど…」


こいつ難しいな、と言って職員室の扉を開け、担任へとノートを渡す。この青春時代の貴重な放課後をなんでこんなことに使ってるんだろう…


先生はニコニコして私たちに話しかける。


「お前ら付き合ってるわけじゃないの?」


「セクハラで訴えますよ」


「だって学校ずっと一緒なんでしょ!?運命…!とか思うんじゃないの普通」


女子がみんなそんなこと考えているわけじゃない!と私は担任に説教を入れる。新人教師の佐藤 優星(さとう ゆうせい)先生。


私はこの適当な考えの先生が苦手だった…ほかの生徒たちにはこの感じが大人気なんだけれど。


「まぁ優星も彼女の1人や2人作れよ」


「1人で良いわ」


じゃあありがとな、と言って私たちを解放する佐藤先生。さっさと帰って夜ご飯食べよう。


どうせ一緒の方向なんだから一緒に帰ろうぜと言われ、仕方なく慶次郎と一緒に学校を出た。 慶次郎が歩くと周りがザワザワする。


コイツは人気があるの分かってるくせに、私と一緒に居たがる…嫌がらせなのか無意識なのか。一部ファンからは嫌味いわれたりするんだけどなぁ。


「お前の家の近くにさ、たい焼き屋あったじゃん。あの店リニューアルするらしいよ」


「えっまじで?」


そんな会話をしながら歩いてバス停に向かっていると、携帯のバイブが鳴った。
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