はやしくんに、紫陽花の花束を。
…はやしくんからのメールだ。
なんか最近やたらと私達が仲良くしてるの嫌がるし、彼からメールが来たことは伏せておこう、と思いながらも携帯を確認する。
【お疲れ。俺は数学の小テスト撃沈】
と、まぁあっさりな報告メールが来ていてクスッと笑ってしまう。
「楽しそうだな、林から?」
少し不満げに私に聞いてくる慶次郎。私は何故か咄嗟に嘘をついてしまった。
「いや、高森から。」
ふーん、と言って普通に歩く慶次郎。すまん嘘ついて…でも2人きりの時に機嫌損なわせるのは私が嫌だわ、気まずくなる。
私こんなに人に気を遣うタイプだったかな…そう思いながら簡単にはやしくんに返事をした。
【お疲れ!私は先生にパシられてノート回収していま帰宅中】
変な顔した絵文字を付けて、送信。
やってることは完全に彼氏彼女なんだけどなぁ、この人にはあまり踏み込んではいけないと思っている。なんか少し変わった人だし。
「てか今週の土曜に林と会うんだけどさ」
「まじで?よろしく言っておいて」
何故か予定を聞かされる。本当はいいなぁ~私も会いたいなぁ~とか思ってるけど。黙秘。
お前は土曜日何してんの?と言われて特に予定もなかったので暇だし高森と遊ぼうかな、と告げた。
「てかお前って仲良い友達みんな苗字で呼ぶのな、なんなのそれ」
「あー…私の名前って苗字っぽくない?嫌いじゃないんだけど」
七瀬と呼ばれると苗字で呼ばれてんの?みたいな反応を周りにいた人にされたことがあって、そこから虚しくてみんな苗字呼びにシフトした。
高森はそんなことないよ、可愛い名前なんだから自信持てよと男前に元気つけてくれたがしかし。わたしは高森を高森と呼ぶ。
ちなみに高森の名前はきらら。自分の性格に合わず名前が可愛すぎるので苦手と言うので苗字で呼んでいる。