はやしくんに、紫陽花の花束を。
「で、隣町の小学校に付いて来いって?」
「ごめん高森~お祭りでなんか奢るから!」
なら良いよと言っていつも慶次郎が降りるバス停で下車する。なんか変な感じ。
とりあえず、慶次郎の家に集合してから小学校まで行こうということになったからこうなったわけだけど…皆さんご存知の通り、この人とは中学からの知り合い。
小学校は違ったわけで。私は慶次郎の小学校の場所をいまいち把握していない。
「おー、俺の家来るの何年振り?」
「4年ぐらい?」
「かもな。まぁとりあえず上がれよ」
遊川家におじゃまします、と言って入ると、昔と変わらずにいらっしゃいと笑顔でで迎えてくれる慶次郎のママ。
女子が2人来るとは思わなかったみたいで驚いた顔してたけれど。
「あら~!久しぶりね七瀬ちゃん!慶ちゃんの彼女になった時だと思ってたの~!」
なんか、縁起でもないこと言われてる。
「慶ちゃんとはそう言うんじゃないんですけど、相変わらず仲良くさせてもらってます」
「お前!今、慶ちゃんって言ったな!?」
「まぁ慶ちゃん!七瀬ちゃんになんて口の利き方するの!?謝りなさい!」
慶ちゃん、昔からママには勝てないみたいで…素直にごめんと言ってくるから笑う。ちなみにママは元ヤンで、慶ちゃんパパがおしとやかな人が好みと聞いて頑張ったらしい。
昔の面影で怒ると怖すぎるから…と震えていた慶次郎のことを思い出した。あ、慶ちゃん呼び忘れちゃった。
「遊川っち、ママに逆らえないのウケんね」
普通に初対面でそう言い放ち、ゲラゲラ笑う高森。
そんな彼女を見て2人のお友達?なんか私と気が合いそうだわ!とニコニコ微笑む慶次郎ママ。
「ほら!そろそろ家出るぞ!」