はやしくんに、紫陽花の花束を。

「ごめんね高森」


「良いよ。わりと良い奴らだったし」


未成年喫煙は絶対ダメだけど。と言って男子の中へと入っていく高森。カッケェ。


「ところで林と良い感じなの?」


はやしくんが慶次郎に絡まれてかき氷を買いに行っている間、私は高森の近くでお留守番することになっていたのだが。


このお友達たちに質問攻めされている。


「あの…」


「だって奏多、中学の時から告白されては興味ないって言って振ってたしな」


「いや、私はそう言うのでは…」


「そーそー!女子に興味なく生きてきたのに、なんか突然七瀬ちゃんが出てきたんだよなー」


何を言っても無駄そうなので、相槌を入れて話を聞いてみることにしたのだが、分かったことは


①彼はマジで女子に興味なかった


②女友達もいなかった


③何故か私と仲良くしてる


これぐらい。


「ちょっと、ななせに変な話したでしょ」


話を聞くのに没頭していると、後ろから私の首元に右手を絡めてくるはやしくん。


「げっ、奏多じゃん」


笑いながらそう言う友達たち。


何故七瀬ちゃんと仲良しになったのか、とかいろいろ質問されていたけど面倒臭そう。そして私の首元から手を離した時にこう言う。


「ほら、可愛くも美人でもないし話しやすいでしょ?だからじゃん?」


「え?ななせはかわいいよ?」


…この子は本当に。目が腐ってるのかもなあ。


「そりゃどうも…」


結構マジで、意見したつもりだったのに私が玉砕した気分なんだけど。照れるし。

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