はやしくんに、紫陽花の花束を。


お祭りでまた会う約束をした私たちは、帰ってからメールでもう一度きちんと約束をした。


今週、また会える。


それだけが良くも悪くも「ふつう」の私の学校生活を救った。楽しくすら感じた気がする。


「じゃあまた来週」


そう、ワクワクそわそわしていたので1ヶ月ぐらいの間を感じたけれど、やっと金曜日。明日、はやしくんに会えるわけで。


明日は駅前の白いオブジェの前で待ち合わせすることにした。帰りに街中に用事があり、オブジェの前を通った私は、少しその場に立ってみた。


…ちょっと、自分でも引くぐらい浮かれてるなこれ。引くわ、うわ、引くわ。帰ろう。


急いで来た道を引き返そうとすると、なぜか分からないけど慶次郎に遭遇。



「あれ、お前も街出てたんだ」


「慶次郎も?珍しいね」


「まぁちょっとな。帰るなら一緒に帰ろうぜ」


そう言って電車へと向かう。


ちなみに私たちの住んでいる地域は田舎のため、電車に乗ってからバスに乗らなくてはいけない。どうして電車を通してくれないんだろうか…?


「慶次郎は何買ったの?」


「あー…これ、やる」


そう言って私に紙袋を渡してくる慶次郎。その紙袋を覗いてみると、中には可愛く包装された袋が入っていた。


本当に私が貰って良いやつ?と尋ねると。うんと言ったので、恐る恐る袋を取り出し、かわいいリボンを引っ張る。

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