はやしくんに、紫陽花の花束を。

「…私、慶次郎にプレゼントあげたことないよね?どうしたの突然」


そう言うと、少し考えた慶次郎。


「まぁ、別に意味はないけど…あげたかったからあげただけ」


「いや、めっちゃ嬉しいけど。ありがとうね!慶次郎は誕生日何ほしい?」


遊川家って、お花屋さんにだったっけ。それなら何をプレゼントすれば仕事で活用できそうかな?なんて考えていると、慶次郎が真っ直ぐな瞳で私を見る。


「お前」


そう言って隣に座っている私の髪に触れる。


びっくりして、何も言わずに固まる。お前って私の事だよな…え、なに。私が欲しいって何だ?


「慶じ…「なんてな、冗談。あーでも、誕生日やることないから買い物でも付き合って。そこで何貰うか決める」


そう言われた後、駅に到着し、席を立つ慶次郎を見て急いで降りようとすると足が縺れた。


そんな私に気付いて瞬時に手を差し伸べてくれた彼は、学校で友達といる時より全然カッコ良く見える。まぁ、昔から性格も見た目もカッコ良いんだけど…


一言多いから好きになれないんだよな。恋愛的な意味で。



「てかだめ!買い物付き合うのは良いけど、プレゼントは私が選んで渡したいから!」


「じゃあ、当日に貰えるの楽しみにしてるわ」


そんな会話をしながらバスに乗り込む。


プレゼントはこうやって、選んでもらえるのが嬉しいわけで。私は思いっきり欲しいものバレてたけど…まぁ、お世話になってるし心込めて選びたい。


あぁそうだ。明日はやしくんに少しだけ探り入れてみようかな。

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