はやしくんに、紫陽花の花束を。
「おい林ー!!」
と、新郎がはやしくんを呼ぶ声が響く。
いや、そういうのはやしくん苦手だろ…なんて思いながら呼ばれているはやしくんの方を見るとげんなりした顔でシッシと追い払うような仕草をしながら頬杖をついていた。
にしてもめっちゃ嫌そうだな。笑うわ。
「まぁ、分かってたけど」
そう言って席に置いてあったシャンパンを飲む新郎。少し飲んだ後はやしくんの話を5分ぐらい聞かされて、わたしも席に戻った。
席に戻ると、ソワソワしてどうしようもないと言わんばかりの柳瀬が待っていた。
「もしかして!あのイケメンがはやしくん?」
「イケメンだった?」
「うん。クールな感じ」
イケメン…なんて考えたこともなかったけれど、そう言われてみれば顔は整っているかもしれない。変わらず少し長めの黒髪で、めんどくさそうに笑うあの顔も変わらない。
なんの仕事してるのかな、金持ちだと良いね!と言ってくる柳瀬に適当に相槌をしてまた自分の世界に戻る。
ぶっちゃけ金とか、はやしくんが存在してるだけでもうどうでも良い。生きていてくれてありがとう。なんの仕事しているのかだけは気になるけれど。
「山川!久しぶり!」
突然、わたしの背中をバシーンと叩いて話しかけてきたのは、私とはやしくんが仲良くなったきっかけの男友達だった。
「あぁ、居たの慶次郎」
「お前本当に男に興味ないのな…女子たちはこういう所に男探しに来てんじゃねぇの?」
「そういう人もいるかもねー」