はやしくんに、紫陽花の花束を。


明るい茶色の髪に、はやしくんとは正反対でキラキラと笑顔を見せる遊川 慶次郎(ゆかわ けいじろう)。


学生の頃は、出席番号も近いし苗字に川入ってる所が一緒だし、中学から高校卒業まで6年間同じクラスだし、皆にもう付き合えよなんて言われてたっけ。


まぁ、そんなのは冗談だったわけで…慶次郎は女子にかなり人気だったし。



「てか林に会った?」


「それ聞こうと思ってたんけど…アンタ、はやしくんと絶交したんじゃないの?」


「それ高校の時の話じゃん!もう大人だよ?」


…まじか。


私がはやしくんと連絡途絶えたのって、コイツとめちゃくちゃ仲悪くなったからだった気がするんだけど…?


「おーい林!」


また遠くの卓から呼ばれる林くんは、さっきよりげんなりした顔でシッシとする。マジで構うなと言わんばかりのオーラ。


ネクタイがきつくなってきたのか、新郎に呼ばれた時より少しネクタイを緩くしていた気がする。


「まぁ良いや。それよりお前も二次会来る?」


そう言って私の肩を組む慶次郎。少しするとスパーンと大きな音で後ろから頭を叩かれていた。


「お、林じゃん」


「良いから離れろ」


そう言って私と慶次郎を言葉だけで引き剥がすはやしくん。


その光景をずーっと見ていた柳瀬は目を輝かせて私に耳打ちをしてきた。何が言いたいのかはなんとなーく分かるけど。



「七瀬、何このイケメン達は」


「腐れ縁の慶次郎と、噂のはやしくん」


「はー。なんとまぁ真逆な」


その声が慶次郎には聞こえていたらしく、腐れ縁じゃなくて、せめて幼馴染ぐらいの説明しておけよ!と言われた。


幼馴染って、どこらへんからなのかな。私的には幼稚園とか小学校から同じとかかと思っていたんだけれど、中学校からも幼馴染って言うのだろうか?


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