はやしくんに、紫陽花の花束を。
色々なことがあった結婚式は、着々とフィナーレに近付いていた。両親への手紙を泣きながら読む飛鳥に、それを泣きながら受け取る両親。
それにもらい泣きする柳瀬と私。
「あー私も早く結婚したい!ね、七瀬もそう思うでしょ!?」
「うん、そうだねー」
「全然思ってないよね。マジで結婚願望ないわけ?林くんと結婚すること想像してみな?」
…30秒ぐらい考えてみたけど、まず想像すらできない。 そもそも披露宴とか絶対嫌がるタイプだろうし、挙式すらしてくれなさそう。
ついでに慶次郎と結婚する想像もしてみたけど、逆に全部派手にやりそうでそれも嫌だ。
こんな想像しても、はやしくんが私のことを好きになってくれるわけじゃないし何だか惨めでさらに泣けてきた…。
『えー、本日は、私たちのためにお集まりいただき、ありがとうございました。このように盛大な披露宴ができたのも、ひとえに皆さまのおかげと心より感謝申し上げますー…』
新郎の謝辞が始まり、ついに飛鳥の結婚式が終わってしまうのかとしんみりするのと同時に、二次会への緊張が高まってくる。
はやしくんと会話できる…夢みたいだ。高校2年の時から連絡が途絶えていた私にはありえないぐらい夢物語すぎて少し手が震える。
謝辞が終わり、皆が会場から出て行く。
二次会ってどこでやるんだっけ?googleマップを開こうとしていると、後ろから携帯に手をかざされた。
「なんだ、慶次郎か」
「場所分かるから、一緒に行く?って林が。」
「行く」
即決かい、と慶次郎にツッこまれながらも、はやしくんと一緒にいる時間を選択する私。