ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

①　彼はこの世界を創ったらしい。だから彼は普通の人間ではない。

②　彼は時折、とても人間臭い。だから普通の人間に過ぎない。

あたしはこの二つの疑惑を両天秤に掛ける。

秤はその時々によって①に傾き、次の瞬間には②に傾いだ。

彼は愛らしく、優しく、謎めいていて、薄気味が悪かった。

彼の天使の顔に填まった小さな地球は、何だかこの世界に似ていた。