ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
創手の片方の眉が吊り上がったと思った途端に、頭に異変が起こった。

頭蓋骨の内側を爪で引っ掻かれるような疼痛が暴走した。

その忌まわしさにあたしは手足をバタつかせる。

いよいよ、本格的に死ぬらしい。殺されて。夢の中で死ぬということは、現実世界でも死ぬのだろうか。

この際、それすらどうでもいいことだ。あたしは手酷い辛苦に悶絶していた。

瞼の裏に何かの映像がフラッシュバックのように発現した。

ああ、これが走馬灯かと儚むも、ふと思い至る。

走馬灯にしては、覚えのない映像ばかりだ。

意味不明な映像と責め苦に喘いでいると、急に創手が手を離した。

まるで熱された鉄にでも触れてしまったかのように手を引っ込めたので、あたしはそのまま床に、強かに後頭部を打ち付けた。

戒めが解かれ、軟体動物になったようにぐったりとなる。

「分かったぞ」
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