ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
彼は珍奇な物でも見るような目をしていた。

「君が他の奴らとは違う理由、君があの病室で目覚めなかった訳ーー」

「……あの、病室?」

今の創手の言葉、その真意は測りかねたが、何か特別な意味を含蓄している。そんな気がした。

「それは、どういう意味?」

「誰が教えてやるものか」

床に横たわったまま火花を散らしていると、屋根の上から響いたやかましいヘリの音が、それを断絶した。

あたしと創手は同じ動作で顎を上げる。

耳を劈つんざくような大きな音だった。

天窓の分厚いガラスを突き破って、大きなものが真っ直ぐ上から落ちてくる。

創手は咄嗟に脇に横っ飛びし、あたしは頭を庇った。
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