ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
一番高い塔の上は国旗台になっていた。
小さな円形の踊り場になっていて、高いポールの先で幅3メートルはありそうな、真紅の旗がローターの風に直角にはためいている。
ヘリが凄まじい音をさせ、ゆらゆらホバリングしながら慎重に塔に近寄ってきた。
その爆音に耳を塞ぐ。
「飛び移れ!」というジェスチャーをゴローがしている。
あたしは眼下の光景に尻込みする。地面は遥か下で、しかも石畳だ。
もし落ちたら、組み合わせ不能なジグソーパズルみたいに木っ端微塵。たぶんドレスしか形が残らない。
「黒谷! ここまで来てビビッてる場合じゃねえぞ!」
背後からルークがけしかけた。
「でも、」と言い掛けて、操縦席が目に入る。
何と、このヘリを操縦しているのは王子ではないか。
ナオヤは100パーセントの苛立った形相で、あたしを睨め付けながら操縦桿を握っている。
その目が金ピカになっているのを見た刹那、あたしは助走を付け、塔の縁を蹴った。
「ぜんまい!」
小さな円形の踊り場になっていて、高いポールの先で幅3メートルはありそうな、真紅の旗がローターの風に直角にはためいている。
ヘリが凄まじい音をさせ、ゆらゆらホバリングしながら慎重に塔に近寄ってきた。
その爆音に耳を塞ぐ。
「飛び移れ!」というジェスチャーをゴローがしている。
あたしは眼下の光景に尻込みする。地面は遥か下で、しかも石畳だ。
もし落ちたら、組み合わせ不能なジグソーパズルみたいに木っ端微塵。たぶんドレスしか形が残らない。
「黒谷! ここまで来てビビッてる場合じゃねえぞ!」
背後からルークがけしかけた。
「でも、」と言い掛けて、操縦席が目に入る。
何と、このヘリを操縦しているのは王子ではないか。
ナオヤは100パーセントの苛立った形相で、あたしを睨め付けながら操縦桿を握っている。
その目が金ピカになっているのを見た刹那、あたしは助走を付け、塔の縁を蹴った。
「ぜんまい!」