ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
ぜんまいは昨日巻いたばかりだった。
彼からのコンタクトは、ぜんまい絡み、何か釘を差したい場合、気分、この三つに分類される。
ナオヤは話し掛けたものの、何を言うか決めていなかったかのように、あたしの顔と床とを交互に見比べている。
「どうかしましたか?」
しばらく待ったが応答がない。
あたしは変なのと思いつつ、原因不明のテーブルの穴に向き直る。
古い木の椅子が、体重移動によってがたついた。
「黒谷」
「……はい」
今度は首だけを巡らせる。
「その、悪かったな。この前」
「この前?」
ナオヤはどこかひたむきな眼差しであたしを見ている。
「創手に感化されたのかとか言って。悪かった」
3回連続素早く瞬きする。
そんなこともあったが、ゴローの記憶に気を取られ、すっかり忘失していた。
ナオヤの意外な律儀さに思わず破顔する。
彼からのコンタクトは、ぜんまい絡み、何か釘を差したい場合、気分、この三つに分類される。
ナオヤは話し掛けたものの、何を言うか決めていなかったかのように、あたしの顔と床とを交互に見比べている。
「どうかしましたか?」
しばらく待ったが応答がない。
あたしは変なのと思いつつ、原因不明のテーブルの穴に向き直る。
古い木の椅子が、体重移動によってがたついた。
「黒谷」
「……はい」
今度は首だけを巡らせる。
「その、悪かったな。この前」
「この前?」
ナオヤはどこかひたむきな眼差しであたしを見ている。
「創手に感化されたのかとか言って。悪かった」
3回連続素早く瞬きする。
そんなこともあったが、ゴローの記憶に気を取られ、すっかり忘失していた。
ナオヤの意外な律儀さに思わず破顔する。