ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
言われた通りに右に曲がると、保安官のバッヂの形を模した、星型の看板が目に留まる。

大きく深呼吸をした。

創手は会った瞬間にあたしを殺すかもしれないなと思った。

あたしは自分を鼓舞し、リュックを背負い直す。

事務所の窓から、中で暇そうに新聞を読んでいる保安官が見えた。

「すみません」

若い保安官は新聞を置き、そばかすの点在する顔を上げた。何だか嬉しそうなのは気のせいか。

「どうしましたか? 事件ですか?」

急に張り切りだす保安官、退屈しきっていたようだ。ではちょうど良かったかもしれない。

「ええ、ある意味、事件です」

そう明言し、リュックを床に置く。
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