ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
ふと、マナーモードのような振動を足に感じた。
怪訝に思って歩みを止める。やはり気のせいではないようだ。
ぱらぱらと裸足の足に何かが降り掛かった。足裏で踏み潰してみて、それが何であるか明らかになる。
「土?」
あたしは恐々壁を見上げた。壁全体が細かく揺れている。両目を大開きにし、
瞬きを乱打した。卵の殻を破るように、土の表面にひび割れが生じている。
只ならぬ雰囲気を察した。
してはいけないことをしてしまった子供の気分だった。
悪気はなかったの、と誰にも訊かれていないのに言い訳を考え、後じさる。
壁が大きく崩落し、出っ張りもろとも大きな物体が床に産み落とされた。
それがピクッと動いたのを見て、あたしは本気で怖くなった。