ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

「信じられん」

元サーファーの半信半疑な声がした。ポニーテールの女の子が人差し指で顎の下を押す。

「ナオヤ、もしかして、巻いてもらったの? 彼女に?」

ナオヤがそうだと認めると、洞窟の住人達は、それが怪奇現象並みにおかしなことであるかのように顔を見交わしている。

元サーファーがニヤつきながら目線の高さを合わせてきた。

「ね、じゃあさ。俺のも回してみてよ」

「はあ」と消極的に言うと、ポニーテールの子が急に真っ赤になって息巻いた。

「ごめんごめん、シノブ。冗談だってばー」元サーファーが宥めすかしている。

「もう、ゴローなんて知らない。勝手に死ねばいい」

彼女はぷいっとそっぽを向く。

他の面々は苦い笑いを噛み殺しているようだ。

意味が分からないのはあたしだけらしい。

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