ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
第2章
ぜんまいのある生活
色々なことが少しずつ分かってきた。
彼らは夜行性だ。
夕空に星が瞬き始める頃に起床し、太陽が顔を出すと眠りに就く。
だから非常に夜目が利くが、その分太陽の光に弱い。
お日様が見たくなって外に出ていたら、ナオヤが眩しいからか不審だったからか、目付きを険しくしていた。
物陰から顔を半分だけ出している。あたしに逃げられないように監視でもしているのだろうか。
「昼間からそんな所で何をしている?」
そっちこそと無言で反駁しつつ、あたしは青天井を指差す。
「日光浴」
氷の流し目王子はつくづくという感じで頭を振る。
「あんたとは時々噛み合わない」
それはあたしも同感だった。
サナエというのがおばさんの名前だった。この住居の家事を取り仕切っているのは彼女だった。
掃除をし、洗濯をし、皆のために食事を用意する。この家のお母さんみたいだった。
あたしが本当に美味しそうにご飯を食べると言ってサナエは喜んだ。
何を食べても、水道水ですらあたしにとっては美味だった。