ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

お出かけ

ルークが原稿を出しに郵便局に行くらしい。

暇だったし、外に出たかったので便乗することにした。

ルークの愛車はサイドカーだ。深緑の車体の横に、一人乗りの座席が付いている。

初めて乗った時には年甲斐もなく興奮し、子供みたいにはしゃいだ。

頬に風を受け、夜の風景がびゅんびゅんと過ぎ去って行くのが何とも痛快で、空を飛ぶ疑似体験みたいだった。

あたしはルークの、いや、家計を支える大切な原稿を胸に抱え、目を瞑った。

一番近くの街までは、バイクで50分ほどの距離にあった。

ビルに近いような背の高い建物が並ぶ地方都市だ。

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