ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
朝から夜、もしくは夜から朝へと、明暗変わりゆく天球を見るのが好きだった。この世界の空は表情豊かで飽くことがない。

物干し場にもなっている小高い丘で、西にピンク色が差す夕空を見ていた。

丸い太陽が下の方からじんわり沈み、円を欠いてゆく。

地球の回る速度を見届けているような神秘的な気分だ。

夕日を見ながら回想していた。ママやパパのこと、友達のことを。

でも、友達はもういない。
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