ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
友達がお見舞いに来た時のことだ。

高校で同じクラスだった仲良しグループの子達だ。

大きな花束を抱えて電車を乗り継ぎ、二時間掛けて来てくれた。


卒業し、女子大生になった彼女達は皆、お化粧していた。

綺麗に巻かれた毛先に、キラキラ光るネイル。ひらひらしたワンピースを着て、洒落た靴を履いていた。

彼女達からはいい香りがした。

「これを使ってお話するのよ」とママがボードを見せる。

白いプラスティックの板にひらがながレタリングしてあった。

初代のあいうえおボードはダンボールの紙に油性マジックで字を手書きしただけのものだったから、これは随分改良を重ねてある。

瞬きしか出来ないあたしのために、器用なパパが製作してくれたのだ。

「へえ」とか言いながら友達は感心したように頷いている。

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