ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
グレンヴィルはあたしを奥へ案内しようとする。
ごくりと音がするほど唾を飲み、それに従った。周囲に目を配りながら、彼に続いて長い廊下を歩く。
一歩一歩法廷に近づいているのだろうかという考えに囚われ、動悸がした。
「黒谷様」
「は、はい」上ずった声が出てしまった。彼は気にも留めない様子で、一つのドアを指し示す。
「どうぞ、こちらです」
グレンヴィルがドアノブを回す。その扉が開かれていくのを、あたしは引き攣りながら見ていた。
裁きの庭かと思ったそこは、鏡張りの小部屋だった。中には侍女らしき女性が控えている。かなり拍子抜けした。
「お着替え下さい。後ほど係の者がご案内致します」
「お着替え?」と目を瞬く。
「何故、お着替えが必要なので?」
あたしは低姿勢に訊いた。
「創手様にお目通り頂きますので、それ相応の格好が必要でございます」
しげしげという感じの彼の視線につられ、自分の着衣をそれとなく見る。確かにフォーマルな装いとは程遠い。
それよりも創手にお目通り、と彼は言及したようだが。
ごくりと音がするほど唾を飲み、それに従った。周囲に目を配りながら、彼に続いて長い廊下を歩く。
一歩一歩法廷に近づいているのだろうかという考えに囚われ、動悸がした。
「黒谷様」
「は、はい」上ずった声が出てしまった。彼は気にも留めない様子で、一つのドアを指し示す。
「どうぞ、こちらです」
グレンヴィルがドアノブを回す。その扉が開かれていくのを、あたしは引き攣りながら見ていた。
裁きの庭かと思ったそこは、鏡張りの小部屋だった。中には侍女らしき女性が控えている。かなり拍子抜けした。
「お着替え下さい。後ほど係の者がご案内致します」
「お着替え?」と目を瞬く。
「何故、お着替えが必要なので?」
あたしは低姿勢に訊いた。
「創手様にお目通り頂きますので、それ相応の格好が必要でございます」
しげしげという感じの彼の視線につられ、自分の着衣をそれとなく見る。確かにフォーマルな装いとは程遠い。
それよりも創手にお目通り、と彼は言及したようだが。