ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
「来てくれて嬉しいよ、黒谷麻奈さん」
自分から来たわけではない。連れてこられたのだ。
しかし、この雰囲気から推測するに、どうも自分は歓迎されているらしい。周囲からこぞって向けられている視線は、どこか温情を帯びている。
「あの、あたしは何故、ここに?」
断りなく勝手に発言したあたしを、グレンヴィルが鋭敏に窘める。
「これ。無礼であろう」
「構わないよ」
創手が白い手を挙げて宰相を遮る。
彼は大人びた仕草で足を組んだ。
「イチゴを盗んだ命知らずな人間がいるって連絡があってね」
不用意だったあたしはさっと目線を外す。
「その人の背中にはぜんまいがないらしいって聞いたんだ。それでずっと探していた。そしたら偶然街でそれらしき人を見たと教えてくれる者がいて、」
あたしが訊きたかったこととは少し違う答えが返ってきた。
「彼だけどね」
創手が玉座の背後を示す。
そこにはモデル立ちをしたディラン・キャニングがいた。
自分から来たわけではない。連れてこられたのだ。
しかし、この雰囲気から推測するに、どうも自分は歓迎されているらしい。周囲からこぞって向けられている視線は、どこか温情を帯びている。
「あの、あたしは何故、ここに?」
断りなく勝手に発言したあたしを、グレンヴィルが鋭敏に窘める。
「これ。無礼であろう」
「構わないよ」
創手が白い手を挙げて宰相を遮る。
彼は大人びた仕草で足を組んだ。
「イチゴを盗んだ命知らずな人間がいるって連絡があってね」
不用意だったあたしはさっと目線を外す。
「その人の背中にはぜんまいがないらしいって聞いたんだ。それでずっと探していた。そしたら偶然街でそれらしき人を見たと教えてくれる者がいて、」
あたしが訊きたかったこととは少し違う答えが返ってきた。
「彼だけどね」
創手が玉座の背後を示す。
そこにはモデル立ちをしたディラン・キャニングがいた。