ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
上下を玉虫のように七色に光る通気性の悪そうな衣装でまとめ、さも愉快そうに、あたしをガン見している。

あたしは口を半開きにした。

創手は並外れた青い目であたしを見据えた。

「僕は君のような人を探していたんだよ」

彼の双眸には、あたしよりも何十歳も年上みたいな奥行きがあった。

瞬きもせず見入っていると、創手が少年の顔でふわりと微笑む。

「きっとお疲れでしょう。もう遅いし、今日はお休みなさい。また明日ね」

「ま、また明日?」

あたしが調子外れの声を上げると、ディランがくすっと聞こえよがしな嘲笑を放つ。

玉座から離席し、創手は何も答えずに奥に下がってしまった。

創手が退出するなり、ディランも大勢いた人達も衣擦れの音をさせ、あっという間に部屋からいなくなる。

誰もいない体育館のような玉座の間には、あたしとグレンヴィルだけが余り物のように残されていた。 

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