その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
しばらく悶々としたあと、思いきってベッドから立ち上がる。
リビングに置いていたカバンから仕事用のノートパソコンを取り出すと、ダイニングにそれを載せて電源を入れた。
寝ていられないなら、家でできる仕事でもしていたほうがいい。
パソコンを開くと、早めに返信するべきメールがいくつか届いていた。
その全てに目を通すと、頭の中で優先順位をつけてひとつひとつ片付けていく。
読書やネット検索には全く集中できなかったのに、仕事となると自分の中の別スイッチがオンになるらしい。
気付けば時間を忘れて仕事に没頭してしまっていた。
必要なメール返信を終えたら、何か温かいものが飲みたくなった。
紅茶を淹れてパソコンの前に戻ってきたとき、新着メールがさらに一件届いていた。
確認するとそれは菅野さんからで、今彼女が進めている仕事に関しての相談ごとだった。
「急ぎではないので時間があるときに教えてほしい」という文言と、私の体調を気遣うメッセージが添えてある。