その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
「私たちの関係を知らない赤の他人が見たら、そういうふうに思うかもしれないってことよ。私が意識しているとかでは断じてないから」
ため息をついていると、広沢くんがハンモックから飛び降りて私のそばで着地する。
「赤の他人から見たらカップルっぽく見えるかもって。れーこさんの中でそんな考えが働いただけでも嬉しいです」
言葉どおり、本当に嬉しそうに頬を緩ませている広沢くんの思考回路はやっぱり理解しかねる。
「もう、いいわ。次に行きましょう」
だんだんと反論する気も失せてしまう。
苦笑いを浮かべると、私は次のガーデンへと歩を進めることにした。