その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―


明日と明後日有給を取っている私は、その間、美弥子の家に泊まって乃々香の世話をすることになっている。

乃々香に夕飯を食べさせて、お風呂に入れて、明日の学校の用意を手伝ってベッドに送り込む。

乃々香が眠ったのを確認してから、私もお風呂を済ませて客間にひかせてもらった布団に潜り込んだ。

妹の家に遊びにくることはあっても、泊まることは滅多にない。

そのせいか、ひんやりとした硬めの布団に寝転ぶ私の目は冴えていた。

自宅マンションとは違う天井の色を見つめながら、いろいろなことがあった1日を思い出して息を吐く。


ガラス越しに眺めた赤ちゃんの無垢な寝顔と、大仕事を終えた美弥子の達成感のある笑顔が脳裏に蘇り、とても優しい気持ちで満たされる。

本当に無事に産まれてきてくれてよかった。


急なことだったのに、今回は企画部長が理解を示してくれて本当に助かった。

そう思うのと同時に、ふと帰り際に起きた秦野さんのトラブルのことを思い出した。

あのあと、ちゃんとうまくいっただろうか。

広沢くんがフォローしてくれたみたいだから、大丈夫だろうと思うけど……


< 256 / 344 >

この作品をシェア

pagetop