その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―



え?な、に……?


「さぁ、そろそろ戻りますか?これ、片付けますね」

空っぽになったコーヒーの缶を握りしめたまま固まっていると、先に立ち上がった広沢くんが私の手からそれを取り上げた。


「碓氷さん、戻りましょう」

ゴミ箱にコーヒーの空き缶を捨てて私を振り返る広沢くんの態度は、普通にいつも通りだ。


私、さっき彼に結構とんでもないことを言われたような気がするんだけど……

あれは聞き間違いだったんだろうか。


「碓氷さん」

もう一度呼ばれて立ち上がる。

私は先に歩き出した広沢くんのあとを慌てて追いかけた。


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