その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
「あ、碓氷さんも歓迎会参加なんですね」
歩み寄ってきた菅野さんが、広沢くんが手に持ってチラつかせていた出欠表を見て問いかけてくる。
「いえ、私は――……」
「今回はほぼ全員参加で歓迎するんで、楽しみにしててください」
断りをいれようとしたら、広沢くんが私の声を遮った。
「嬉しいです。楽しみにしてます」
広沢くんの言葉に、菅野さんが嬉しそうに笑う。
そのおかげで、私は出席を取りやめてもらうタイミングを失った。